FineHearing™: 繊細な情報の中に生きる「音」

人工内耳において、「進歩」とは、音を脳に理解できる電気信号に変換するための、最も効率のいい、詳細な情報を処理できる音声処理技術の開発にあります。

長年にわたって、人工内耳のコード化法は、「包絡線」として知られる、音の一部分の情報のみが使われてきました。「ファインストラクチャー(微細構造)」と呼ばれる、音のより繊細な情報を使うには、技術的な限界がありました。メドエルのFineHearing™テクノロジーはこの限界を克服しました。
 

「包絡線」による情報処理では、静かな環境においては、ほとんどの人工内耳装用者が、音声言語を理解することが可能です。1 しかし、より複雑な音を聞くためには、包絡線の情報だけでは十分とはいえません。

音楽における音程のような、音自身の持つユニークな特徴を表現できるファインストラクチャーの情報なしには、人工内耳装用者は音楽を楽しんだり、騒音下で言語音声を集中して聴くことが難しいといわれています。2 騒々しい場所で会話をするときに、きこえの範囲を絞ったり、音楽を鑑賞するときや小さな音を聞くときなどの、特別な設定を設けることは、それほど効果的でも、便利でもありません。加えて、音の高低に影響されるような言葉や、北京語などのような、音調の変化に頼るところが大きい言語環境は、人工内耳装用者にとっては、特に、たいへん厳しいものがあります。

音の要素

包絡線

包絡線は、音信号の「ラウドネス曲線」で、音声理解には欠かせません。
 

 
 

ファインストラクチャー

ファインストストラクチャーは音信号の細かな情報を含み、ピッチおよび音質を強調します。

研究によると、ファインストラクチャーは音楽及び音源の位置の特定に関する主な情報を担っています。3 FineHearing™ テクノロジーと蝸牛全体刺激によって、装用者は、包絡線とファインストラクチャーの両方の音情報を処理できる、より進化したコード化法を使用することが可能です。従来の音声処理とは異なり、MAESTRO™は、ヒルベルト変換として知られる、高度なアルゴリズムを採用しています。これにより、入力音の全容、あるいは包絡線の情報を、密に抽出する解像度の高いデジタル信号処理を実現しています。加えて、特許取得済みの特殊電気パルスが、音程や音質の情報を伝播する独自のパルス形状となって蝸牛頂へ届けられます。このようにして、かつてない音を提供するための音のファインストラクチャーが高精度で処理されます。

メドエルFineHearing™ テクノロジーの一部である、FSPコード化法は、音の包絡線とファインストラクチャーの両方の情報を処理できるので、これまでにない高いレベルの音質を、特に音楽を聴く際に、提供します。3

  1. Helms J. Comparison of the TEMPO+ ear-level speech processor and the CIS PRO+ body-worn processor in adult MED-EL cochlear implant users. ORL Head Neck Surg 2001; 63: 31-40.
  2. Nopp P, Polak M. From electric acoustic stimulation to improved sound coding in cochlear implants. Accepted for publication in: van de Heyning P (ed), Cochlear Implant and Hearing Preservation, Karger.
  3. Smith et al. Chimaeric sounds reveal dichotomies in auditory perception. Nature; 2002; 416: 87-90.

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